数年前までタイトル戦の決勝に生放送というものはなかった。
どこかしらの雀荘で対局者と記録係、
そして大勢のギャラリーとともに行われていた。
無論ギャラリーが勝負に何かしらの影響を与えるのは許されない話であり、
人々は能面のように静かに勝負の行く末を見守る事を義務付けられていた。
それでも各局の決着の際にギャラリーが声を殺しきれずに生じるどよめき、
各半荘間での会話、
そして勝負がいよいよ佳境にはいった際の静寂、
「決勝独特の雰囲気」というものがそこにはあった。
生放送が普及して僕を含めた多くの人は自宅でご飯を食べながらゆっくり観戦ができるようになった。
会場生観戦のように立ちっぱなしではないし、
何より4人の手をすべて同時に確認できる(現場観戦だと立ち居地をコロコロ変える事はNGなので全員の手は見れない)、
なんとも便利な時代になったと思う反面、
あの独特の空気を味わえなくなったの少々寂しい面もある。
特に先述の「勝負が佳境に入った瞬間の緊張感」、僕はこれがたまらなく好きだった。
2時間前までは半荘の合間に談笑していた対局者達がいよいよ会話をしなくなり、
その空気を察してまわりも会話をしなくなる、
場の空気が一気に変わる瞬間が確かにそこにあった。
生放送が出来るまで、決勝観戦というのは麻雀の内容はもちろんその空気を味わうところまで含めて楽しむ物だった。
そして選手として決勝に進出した場合の緊張感も若干異なる物となったと感じる。
近年の放送はより多くの人の目に触れる一方で、会場には関係者以外がいない。
人数は少なくても現場で生観戦者から受けるプレッシャーとどちらがきついかというのは人によるだろう。
個人的には、昔の現場に多くのギャラリーを抱えていた時の方が緊張したかなあ、と思ったりもする。特に超有名プロとかに後ろに立たれると多少なりとものプレッシャーを感じた物だった。僕も人間なのでw
先日の雀竜位決定戦最終日の放送を見ていて、
「さぞかし今現場はピリついているだろうなあ」と考えながら、
その空気を現場で味わってみたかった、とかちょっと思ったのでありました。
さてそして、
去年まで麻雀界のGIタイトルでも唯一決勝生放送が無かった大会、
協会主催の日本オープンも今年からいよいよ決勝生放送になる。
これでいよいよ「現場の臨場感」を感じれなくなるのだなあ、とちょっとだけ寂しい気持ちもあるが、家でゆっくり今年の勝負も見せてもらえるのは有難くもある。
明日行われる決勝のメンバーは、
石立岳大プロ(プロ連盟)
桑原俊之さん
渋川難波プロ(プロ協会)
小倉孝プロ(プロ協会)
個人的にはやはり小倉・渋川の対決が非常に楽しみだ。
以前に小倉について記事を書いた事があるが、
http://susumutakenaka.blogspot.jp/2016/11/3.html
この文中で小倉の事を「今までも僕が協会で見てきた中でもNo.1の天才」と称する一方、
「それに匹敵するとしたら渋川か仲林」と書いた。
協会の元祖天才と本家天才の対決、期待せずにはいられない^^
https://freshlive.tv/threearrows-ch/96397
http://live.nicovideo.jp/watch/lv293340342