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2018年10月31日水曜日

麻雀とメンタルの関係性 その3

キバヤシ「あの、、、」
『あ、どうもキバヤシさん。(最近出番多いですね)』
「先日ネットで麻雀のメンタル問題がちょっと話題になってましたね。」
『そうですね。まあ僕は以前にも書いたように”メンタルなんて鍛えようと考える事自体お勧めしない派”なんですが、
案外世の中にはそう考えない人もいるみたいで^^;』
麻雀とメンタルの関係性 その1
麻雀とメンタルの関係性 その2

「そうみたいですね。”武中さんMリーガーの魚●さんにフルボッコにされてるざまあみろ”と私思ってみてましたよ。」
『・・・まあ正直にどっちでもいいですけどね。
少なくとも競技選手は最終的にはメンタル・技術の両方が成熟されてる状態をめざすべきであり、
どっちから鍛えるか?と聞かれりゃ僕は技術の方から取り掛かった方がいいと思ってる、って程度なので。
ただ確かに女流の子とかは”自分の土台を作り”をする時間もなく大衆の目に晒される事があるし、
そうなると健全なメンタルを保つコツ(心がまえ)を知っとくのは悪い話ではないのかもなあ、とか思ったりはしました。』

「・・・ひょっとしてそういうのあるんですか?」
『まあ、ありますね。手軽な知っとくべき心がまえ。』

「早く教えて下さい!」
『(・・・世の中手軽って言葉に惹かれやすい人が多いよなあ、やっぱ)
まあいいでしょう。シンプルに3つ、
① 失敗を恐れすぎない 
② 自分の好きに打つ
③ これから始まる勝負は”今日とった写真”にすぎない
これを勝負が始まる前に自分の中で復唱する。
ってだけです。』

「・・・これだけ?」
『はい』
「・・・当たり前の事にもみえますし、こんな事でメンタル管理なるんですか?」
『前から言ってる通り、これはあくまで気休めレベルの管理術です。
風邪ひいたと思って飲む”早めのパブロン”みたいなものですよ。
でも試合が始まる前とかに改めて自分に言い聞かせるのは悪くないと思います。』


「うーん、、、実感がわかない」
『じゃあもうちょっと具体的に
まず①失敗を恐れすぎない 
超一流の打ち手でも1半荘打ったら細かいミスは探せばいくつも出てきます。派手なミスする時もあります。
つまり人間って絶対にミスをするんです。
その事を知って”10回チャレンジしたら6回成功すればいい”位に気軽さを心がける事、
つまり”完璧にやる必要性はない”という気楽さ、
これをまず意識する事です。』
「まあ確かに。完全にやろうとすればするほど一回のミスで一気に動揺しちゃいますからね。」

『その通り。
んで次の②自分の好きに打つ
対局における”正解”って奴は人によって色々と考えがあります。
たとえば典型的なのは”目無しの打ち方”、いまだに議論がつきてない。
打ち手に対する評価なんてのも人によって超バラバラです。
だから”人目につく場に立つ以上、どんな事やっても多少なりとも叩かれる”、これ当たり前なんですよ。
そういう時どうするか?
少なくとも勝負の最中は”自分が正しいと思った事=自分の利の追及、を完遂する”って精神を持つことです』

「えー、でもそれで叩かれちゃったらどうするんですか?」
『今言ったように、何やっても多少は叩かれますよ。
振り返りしたいなら後でやればいいんです。
ただどうせなら自分のやりたいようにやって叩かれた方がいいでしょう?
何より自分の意志よりも周りの目を優先しようとしてしまうと、せっかくの経験がその後の糧になりにくいです。何故なら自分に言い訳が幾らでもできてしまうから。
どうせ失敗するなやりたいようにやってその後の糧にした方がいいでしょう?
自分に後々言い訳しない為にも自己意志だけを優先する、と考えれば周りの目を多少は気にせずに打てます。

「そんなものですか、、、」
『んで最後③ これから始まる勝負は”今日とった写真”にすぎない。
これは以前書いた別記事に詳細がありますので概要だけ。
http://susumutakenaka.blogspot.com/2017/02/1.html

言うなら対局というのは
自分の実力の一部を切り取った写真の一枚みたいなものです。
勝つこともあれば負ける事もある、
理不尽にあう事もある、
そしてミスする事もある、
けれどそれはあくまで自分の一部、
自分の全てではないし、
時間がたてば過去の一枚でしかない。(このご時世はそれが延々とネットに出回る面倒さはありますが)。
そう考えて”あくまで今日の写真の一枚”くらいに考えましょう。
という事。
そうすれば滅茶苦茶な理不尽にあったりとんでもないミスしても、多少は心が落ち着きますよ。』

「はあ、、、、なるほど。ちょっとだけ解る気がします」
『いや、実感わかない人が多いかもなあ、とも思いますよ。
ぶっちゃけ僕もそこまでこれが効果的とは思わないw
ただまあ、勝負に緊張しすぎる人ってあまりにも結果と内容に完璧さを求めるケースが多いんですね。(特に内容に)
結果として一つ何かが起きるとパリンといってしまう。
だから完璧さなんて必要がない事、
今日負けてもミスしても死ぬわけじゃない位の気楽さ、
そしてその理由を勝負の前に自分の中で再確認する、
これが一番単純なメンタル管理方法ですかね。』


というわけで、
「とにかく豆腐メンタルをなんとかしたい」という人がいたら、
参考までに試してみてください。
ただまあ何度も言うように、
日常的レベルの麻雀において「メンタルが原因で負けた」と考えてる人は、
まず技術を磨くことを考えるべき、って点はお忘れなく^^;

2018年10月25日木曜日

麻雀打ちも健康・体力大事です。皆さんも気をつけましょう。

今週またまた麻雀界にて軽く衝撃を受けるNEWSが。

松本浩司プロが体調不良により第43期最高位決定戦を辞退。
https://saikouisen.com/news/%e7%ac%ac43%e6%9c%9f%e6%9c%80%e9%ab%98%e4%bd%8d%e6%b1%ba%e5%ae%9a%e6%88%a6%e3%81%ae%e5%87%ba%e5%a0%b4%e9%81%b8%e6%89%8b%e3%81%a8%e9%96%8b%e5%82%ac%e6%97%a5%e7%a8%8b%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/

体調不良によるタイトル戦決勝辞退ってのは、
僕の長いプロ生活の中でも見た記憶がほとんどない。
実際問題、麻雀は集中力の問題をのぞいて「打つ」って点だけならよほどのことが無い限り可能だし、病気をおして決勝を戦った選手ってのは過去にいた記憶もあるし。

自身初の最高位決定戦。
僕だったら余程の事が無い限り這ってでも出ると思う。
それすらできないって事は余程体調が悪いって事なんだろう。
「本人さぞかし無念だろう」と思うと同時に、
どうかご無理なさらず療養をしていただきたいと願うばかりである。


従来麻雀には賭場のダークなイメージが付いて回ってきた。
そしてそれにあわせて麻雀打ちとはとにかく「不養生」「不健康」というイメージがあったりした。
暗い賭場でタバコをぷかぷかふかし、
人によっては酒を飲む、
運動なんてからっきし。
そんなイメージをいまだに持ってる人も多いだろう。

でもそれに対して、”体力・健康の重要性”を昔から語っているのが連盟のレジェンドである荒正義プロである。

荒プロはコラムの中で
「スランプを感じたら牌から離れる。なぜなら打たなきゃ負けないから。
空いた時間で体力づくりに専念、昔ならランニングしてたし今はウォーキングをする。筋トレもする。
思考能力の源は体力だからである」
と書いており、実際に彼が原作の漫画の主人公はスランプの時にロードワークしている図等があったりする。

僕もアラフォーともなってきて、
健康に気を付けなきゃなあ、と感じる事が最近多い。
大事な大事な決定戦を体調を理由に断念、想像しただけで泣けてくる。


そしてやっぱり麻雀も集中力の勝負である。
集中力の基盤は根気、根気を支えるのは体力、これは羽生善治さんの言葉。

実際に卓上で自分の集中力をMAXにするのはかなりの体力が必要だし。
これを4半荘フルに維持できる人ってかなり少ないと思う。

競技で自分がリーチをかけた時、
「いまのうちに脳を休ませとかなきゃ」
と考えて、あえて他人のツモ切り手出しを目に追わないように心がけたりもする、
この感覚に賛同できる人っていると思うんだよな^^;

まあそんな体力問題、
それ以上に健康問題、
色々と考えて「もうちょっと定期的に運動するか」と思う最近でありました。

下腹部のぽっこりとかは脂肪吸引とかすりゃなんとかなるかもしれないが、
血糖値とかはじゃどうにもならないし、
体力も結局は自分でつけるしかない。

・・・とまあ、松本さんの無念の事件から色々と考えるアラフォーでありました。


しかしなあ、
これで近藤誠一さん繰り上がりか。
なんというか、
競技ファンは喜ぶ人もいるんだろうなあ。
これは松本さんがどうこうというより、近藤さんのカリスマ性が高すぎるって話だろう。
個人的には園田賢を一番応援してるけどね。

さて、そろそろ始まる最高位決定戦。
今年もなんだかんだでやっぱ楽しみ。決定戦シーズンですね。

2018年10月22日月曜日

数値化、シミュレーションという技術について

ちょっと前にネットで興味をひかれた記事があった。

https://twitter.com/janngoroK/status/1052269524425142272

まあどれを切るのが正着かというのは別として、
興味深かったのがこの検証をするうえで「シミュレーター」を用いた「数値化」がされている点である。
先に書いてしまえば、麻雀というゲームは「完全数値化」は無理な話である。
これは以前以下記事で書いたように、麻雀が異なるベクトルの情報を幾つか持ったゲームである以上、
最終的な判断は個人の思考傾向、言うなら「なんとなく」によって決まるからだ。
https://susumutakenaka.blogspot.com/2016/12/blog-post_28.html

上記のシミュレーション数値も、ある規則にそってつけられた数値なわけで。
物凄い面白いソフトだし、どのようなルールなのかは興味が尽きない。
ただ「絶対解」と考える人がいるならそれは否だし、
「指標の一つとして素晴らしいが、実際はどうだろう?」位に考えるのが健全だと個人的には思う。
指標というのはそういう物だろう。

さて、ちょっと話を変える。
「完全数値化は不可能」というゲームは無論麻雀だけではない。
ただしソフトウエアを利用して「ある程度の規則等に基づいた数値化」ができるという点、これも無論麻雀だけではない。

近年だとこの分野で有名なのはやはり将棋、
数々のAIがトッププロを倒して大きな話題を呼んだ点も世間で大きな話題となったが、
従来は数値指標がほとんどなかったこのゲームにおいて、形成を判断する「評価値」という概念をAIが導入したこと、これは大きな話題となった。
そしてこれがある意味で、藤井七段以上に昨今の将棋ブームを強く下支えしている、と個人的には考える。

これらが大きく役に立っているのは、
近年急速に広がっているニコ生やAbemaTV等での将棋観戦だ。


既述の通り、従来将棋の対局と言うのは基本的に数値指標が無かった。
二人の選手は盤面のみで王を取り合う争いをしている中、
「どちらが有利か」「どちらが不利か」という対局を示すバロメーターは、解説のコメント位のもの、
つまりよほどのコアなファンでない限り、
対局の途中経過を見ても形成の判断というものはつきにくく、
それゆえに「わざわざ途中経過を見る」という事をするファンも少なかったわけである。

これを劇的に変えたのがAI評価値、
画像に様に、これにより現在の対局放送はどんな人でも形成をある程度判断できる。
とある一手が形成を大逆転したケース等も、視聴者に解りやすいのである。
これによって「見て楽しむハードル」っていうのが大きく下がった事が、
「将棋観戦ファン」を増やした大きな要因の一つになっている。


麻雀対局もねー、
「評価値」って入れられたらいいなあ、とか思うのですよね最近。
特にMリーグみたいにライト層に見てもらうチャンスが多い場面で。
まあ麻雀には「持ち点」っていう数値指標があるけど、
手牌の評価値がほしいなあ、と。

でも打点・スピード・河状況とかあるし、
局面によって「東1局ならうれしいけどこの状況じゃ全然うれしくない手」とかもあるし。
難しいよね。
というかぶっちゃけ持ち点って0点スタートでよくね?とか思ったりもする。
プラス・マイナスで表示された方が見てる人にやさしいし。
どうせ競技やMリーグにはトビないし。

ただまあ一方で、
「数値化」ってちょっと危険な要素をはらんじゃったりもするのです。

アナログゲームにおいてとにかく数値に拘り過ぎると、
多くの人の思考が以上にその数字に執着してしまい、
結果として全体を見渡した発想が出来なくなるケースが多い。

麻雀で言うなら10数年前、
多くの打ち手が「シャンテン数」「受け入れ枚数」に異常に拘っていた時代、
そういう風に数字を中心におおくの人が考えてしまう時代になると、
「数字を裏切る」って行為が凄いバッシングを受けがちなんですよね。

そして多くの人がそのバッシングを恐れるゆえに、
大体な一手とかその為の研究ってものが出来なくなったりする。
※まあ麻雀界の場合はその前までが「あまりに数字に無頓着だった」って別の問題があった気もしますがw



うーん、解りますかねこの感覚。。。。

麻雀にもっとシミュレーター等を用いた数値化の概念が普及してほしい、
特にライト層拡大の為にもっと放送媒体の「見える化」は業界として意識すべき、
と考える一方で、
研究って観点からはこの「数字」って奴の扱いがむずかしいだよなあ、、、
という感じのどっちつかずの所感記事でしたw

2018年10月18日木曜日

下手なのに強い人、上手なのに弱い人 その2

前回の続き
http://susumutakenaka.blogspot.com/2018/10/blog-post_16.html

「で、武中さん、”上手なのに弱い”と思われがちなタイプの条件、って何があるんでしょうか?」
『まあ大きく分けて4つの要素があると僕には見えてます。
そして前も言いました通り、これを満たしていない人ほど”下手なのに強い”って見られるタイプですね。』
「じゃあそれぞれ教えてください。」

『その① 色々な事を考えすぎている人
とにかく色々な細かい事に気付いていて、状況に応じて打ち方コロコロ変えるタイプですね。
この手の人は”渋いダマテン”とかよくやる事が多いです。
まあその大体は”ヌルいダマテン”になるんですが^^;』

「それって駄目なんですか?色々考えて細かい事に気づく人の方が上手に思えますけど。」
『それ自体は悪くないんですけど、この手のタイプは”拾った情報を捨てる or 優先順位付けする”って事がちゃんとできてない人が多いんですよ。
結果として状況にそぐわない事やったり、局ごとでやってる事が全然かみあってなかったり。
結果として”何も考えずリーチしまくる方がマシ”って形になっちゃうケースが結構多いですね。』
「はあ。なるほど」


『その② リスクを恐れすぎている人
とにかく放銃回避を第一に考えるガチガチタイプですね。』

「・・・それもダメと?放銃回避する人=上手いと思いますけど」
『その考えがそもそも間違いで、世の中に放銃しない人なんていませんよ。
特に自分に好手が入ってる時に放銃するのなんてむしろ必然です。
にもかかわらず不自然な手順でアタリ牌とめてその事に喜んでしまう、
そしてその裏で不自然なアガリ逃し連発して負ける結果、”上手いのに弱い”ってタイプに見られるわけですね。』
「・・・」
『あれ、キバヤシさん、どうしたんですか?心当たりでも?^^;』
「・・・そんな事は。じゃあ3つ目を。」


『その③ トータル収支という考え方が出来てない人。
具体的に言えば序盤にマンガンとかのリードとった瞬間から異常に着順を意識しすぎたゆがんだ打ちまわしするタイプですね。』

「・・・いや、なんでそれもダメなんでしょう?」
『まず序盤からリードを意識しまくってそのままの着順をキープできるなら苦労はしないです。
それ以上にこの手のタイプはトータルでみると着順でも大して勝てない一方で素点と祝儀Pでボロ負けします。
つまり”トータル”って考え方が出来てないので、”賢明に打っているのに気づいたら負けてる”って見えるケースが多いですね。』

「あの、
ここまでの武中さんの意見を聞くと”もう何も考えずに攻めまくる人=弱くて強いと思われる人”のほうが実は強い、と聞こえるんですが、そこはどうなんでしょう?」
『フリー雀荘についてはそうですね。
”上手なのに弱いと言われるタイプ” →  ”本当に強い”ってケースより
”下手なのに強いと言われるタイプ” → ”本当に強い”ってケース、
後者の方が多いと思います。
何も考えずにガンガン前に出てるおっちゃんとかおばちゃん、実はそこまで非効率な事してないケースが結構ありますよ。』

「えっ、本当に?信じがたい・・・」
『理由はルールです。
フリーのルールは全体的に見ると攻めた方が断然有利だからです。
細かい事考えすぎる位なら両面貼ったら全部リーチした方がマシな位です。
まあ勿論、本当に強い人って言うのは今回出たような要素をちゃんとバランスもって理論的に考えて、
必要な情報を拾って捨てて、
リスクを軽視しすぎず重視しすぎず、
トータルを考える、
これをやってます。
でもそこまでやってる人なんてフリーにいるお客さんの1%もいないでしょうね。
”やってるつもり”って人はいますが。』


「あの、そういえば要素は4つでしたよね?最後の一つが出てないですが。」
『ああ、、、聞きます?』
「はい。」

『その④ イケメン』
「・・・・」
『・・・・』
「・・・・ガチなんですか?」
『だってそうなんですもん。
まあこれは”上手くて弱く見えるタイプ”というより”上手く見られるタイプ”ですけどね。
イケメンは間違いなくブサメンより麻雀上手にみられますよ。』

「麻雀関係ないじゃないですか・・・・」
『それくらいに世間の”打ち手の実力評価”ってのはテキトーなんですよw
女性って理由だけでやたら弱く見られる、とかもあるし、
偏見やイメージで90%くらい基本決まりますからね。
まあ他人の実力を評価するってのは実はものすごい高いスキルが必要で、
正確に誰か一人を評価するのは実は凄い時間と労力がかかります。
娯楽の範囲で出来るレベルの話じゃないので当然ではありますが^^;
そういう意味では実力を評価したければやはりリアルよりネットの方が確実ですね。
もう嘘偽りが出来ない結果がベースで評価されてるわけですから。そして何より顔が見えないし。

というわけで麻雀の世界でも”ただしイケメンに限る”はあるのでしたw

おしまい

2018年10月16日火曜日

下手なのに強い人、上手なのに弱い人 その1

いつも通りにフリーに行くとそこでばったりと彼に遭遇。
「武中さん」
『あっ。以下の記事で出てきた常連客のキバヤシさんじゃないですか^^』
● 雀荘の女性店員とお客さんのとある光景
● 麻雀とメンタルの関係性

「どうもお久しぶりです。それじゃお先に失礼します。」
『もうご帰宅ですか?』
「はい。どうも今日は調子が悪くて」
『まあそういう事もありますよ。僕もこの間チンチンに負けましたし。』
「今日は特に対面のオバちゃんが凄くて。典型的な”ヘタなのに強いタイプ”でした。もうボコボコにされましたよ。」
『ほう^^;』

「すごい勢いで全ツされまくって、僕の勝負手全部不発になって酷いものでしたよ。。。」
『まあ言いたい事は解らないでもないんですが、そんな人地球上に存在しませんよ。』
「へ?」
上手いと強いは同義です。
よって”下手なのに強い”とか”上手なのに弱い”って人はいません。
”強くて上手い”か”弱くて下手”かのどっちかです。


「で、でも今日のオバちゃん凄かったんですよ。たとえば親リーチにドラを一発で勝負とかしてたし。」
『その勝負が本当に損だったかはその状況を細かく検証しなきゃ解らんですよ。僕だってドラ勝負する事くらいありますよ?その人の手牌も見てないのに何をもって”酷い”なんですかね?
”その人のバランス感覚や判断が本当に利にかなわないレベル”と貴方は全て判断で来てる自信ありますか?
そう考えているとしたらそっちの方がはるかに危険な思想です。』

「・・・でもこの間とその前に同卓した時は、その人凄い負けてたんです!」
『それ以外の時は凄い勝ってる人かもしれないです。
麻雀の結果なんて数千回、数万回レベルの試行回数が必要なんです。
数回、数十回同卓した程度で”強い””弱い”を判断するのは早計でしょう。
”上手い”か”下手”かなんて解るはずもありません。
いや厳密に言えば”弱い=下手”ってのは解っちゃうシーンが結構あります。
ただ上手いと解るシーンはまず起こりえないです。(この理由はいつか別記事で)』


「・・・じゃあ僕の考えはタダの思い込み?」
『はい。
麻雀のゲーム研究がまだまだ進んでいなかった時代ならともかく、
この統計データや研究が出そろったご時世でそんな発言してたら場所によっては嘲笑の対象かと^^;
ただまあ、そんな時代でも”感性で打つ”とか”運の流れを引き寄せる”とかオカルト思考は多くあるので、結局この考えもある種”正しい”と考えている人はいるんですけどね。
ただ僕としては”結局、強いと上手は一緒。それらを分けて考えるのは研究が進んでなかった時代の人達の戯言”と一蹴したいですね。

「・・・・」
『あっ、でも最初に言いました通り。考え方は解ります。
実際に僕としても「”上手なのに弱いと思われがちなタイプの条件」てのは幾つかあると思ってます。』

「へえ、そんなのがあるんですね」
『はい。打ち方の傾向等ですね。
つまりその逆の条件を多く満たしてる人は「”下手なのに強い”って思われがちなタイプ」です。

じゃあ、せっかくなのでそれについてちょっと触れてみましょう。
もしもキバヤシさんがフリーとか打ってて”なんで自分はいつもしっかり打ってるのに、こんなひどい下手な人に負けちゃうんだろう”って思う事があるとしたら、
これから述べるポイントを知れば自分の麻雀を見つめなおす参考になるかもしれないですね。』

続く

2018年10月12日金曜日

私見にともなう麻雀プロ紹介その11:宮崎和樹

今日は明日から始まる第17期雀王決定戦のメンツの一人である宮崎和樹について書きたいかと思います。
ちなみに彼も含めたメンツ4人の紹介記事はこちら
https://susumutakenaka.blogspot.com/2018/09/417.html


入会は3期後期
入会してわずか数か月で連盟のG1タイトルである「王位戦」を若干20歳(史上最年少)で獲得
デビュー直後から協会でその名を知られた存在でした。
ちなみに同期入会だった橘哲也・大浜岳を含めた3人で「3期後期の3バカ」として当時知られていた存在でもあります。
まあその中でも宮崎は上記理由で知名度が高く、中心として知られていたわけで。

王位戦の後も、
第4期新人王戦での決勝進出、
リーグ戦にてほぼストレート昇級を続け第6期には既にB1リーグに入り(私の1年遅れデビューなのにB1昇級は10年も早いw)、
とその実力を周りに印象付けていきます。

そして本人が(特に若いころは)派手で自信にあふれた言動をすすんで行っていたのもあり、
古くから宮崎を知る人は「ビッグマウスの天才肌」というイメージがある人が多いと思われます。
歯に衣着せぬ言動からトラブルメーカーとしても有名でしたしw
とある先輩が「歩く危険物。傍から見てると面白いし話してて楽しいけどね」、と言っていたのは同感したし、「こんな奴が先輩だったら面倒だよなあ、、良かった俺一応先輩で」とか思った記憶もあったりw
まあその分昔から面倒見はいい部分があり行動力も高かったので彼の周りには人も集まり、
現在でも多くの人を要するイベントサークルが出来上がってるわけで。これは彼の人望なせるワザなのでしょう。



さて麻雀遍歴に戻ります。
リーグ戦についてはB1昇級まではトントン拍子で駆け抜けた一方、ここで長く停滞することになります。
降級も一度経験したあと念願のAリーガーになったのは14期、
B1在籍7年というのはおそらく吉川亘さんの10年に次ぐ歴代2位。(しかも吉川さんはB1デビューだったと考えると生え抜きリーガー以外では多分歴代1位。)
特に昇級後2年目の第7期は最終節になんと300P以上の差を捲られて昇級を逃す憂き目にあったりもしています。ちなみにこの時彼を捲って昇級したのは現雀王の金太賢、それが今年のリーグ戦で戦うのを見るのは古くからいる身としては感慨深い。

麻雀のスタイルについてちょっと僕の所感も。
まず若い頃の彼の打ち方はとにかく個性的でした。
前提として彼は論理的思考に疎いタイプではない。
もともと頭が凄い良いタイプなので数理的な点を無視するタイプではないのです。

ただ彼はそれ以上に論理外の情報を拾う能力がずば抜けて高かった。
卓外の相手の視線とか、手出し・ツモ切りの記憶とか、その他もろもろ。
対局後の局後感想でも捨て牌とか局の事を凄い良く覚えていたりして、正直にビビった事が何回かある。
故に物凄いカミソリみたいな切れ味で勝ち切る時もあれば、とんでもないポカする時もあるタイプ、って印象ですね。

近年麻雀に対する論理的アプローチをする人がネット等の影響で増えた一方で、
麻雀が様々なアナログ要素を含めて曖昧的に判断する、いわば「総合力を競うゲーム」という点、
これを軽視する人が多い、と個人的には感じる事もあるのです。
※これはオカルト要素とか「感性」とかいう物と一切関係なく。

その点でこの男は物凄い個性的なバランスを持つ故かなり賛否両論にさらされやすい打ち手なのですが、
僕がプロやってきて「総合力って物の大事さ」を感じたのはコイツとl金を見た時です。
そういう意味で今回の決勝メンツで現雀王に一番近いタイプは彼かもしれません。
いや雀風は似ても似つかない印象なのですがw

ただまあここ数年の彼を見てると、
「結構スタンダードな選択をする機会が増えたかも」って感じますねw

ちょっと寂しい点もありますがw


さて総括するなら、
「長くプロをやって性格も麻雀も大人になったなあ」ってのが正直な僕の印象w、
でも若い頃も含めてそんな彼の元には多くの人が集まっているのは変わらない。今回も多くの人が彼を応援している事でしょう。
そして上述のビッグマウスも多少なりとも健在ではある一方で、
大人になった彼が今回の相手3人と自分自身をどのようにとらえているかという”本心”が、実は僕としちゃ興味があったりします。
まあ、本人に聞いても多分答えないでしょうがw

明日から始まる第17期雀王決定戦、放送URLはこちらです。ぜひぜひご覧ください。
ちなみに僕は来週10/20(土)に解説で出る予定、そちらも是非^^

ニコ生 http://live.nicovideo.jp/gate/lv316126823
Fresh! https://freshlive.tv/threearrows-ch/240812

2018年10月9日火曜日

田中巌

今でこそ協会も最高位戦も数百人を超える規模になり、
特に最高位戦は色々な地方支部も抱えている。

でも10年ほど前は両団体ともまだまだ規模も小さかった(とはいっても100人は超えていたが)。
だからこそ協会や最高位戦の若手というやつは、今よりももっと活発に勉強会などを通した交流をする事が多かった記憶がある。
団体は違えど同じ麻雀界という釜の飯をくっている仲間、
まあ元々協会は最高位戦から分裂した経緯もあって上層部はまだこの頃一部ギクシャクが残ってたけど、
我々当時の若手はそんな事お構い無しに互いの麻雀や見解をぶつけ合った。
そして酒を飲んだりカラオケ行ったり色々な遊びもした。

今となってはその頃があったからこそ自分の競技麻雀のベースは作られたし、
その頃できた人脈が自分のこの業界での活動ベースにもなっている点が大きい。


園田賢
坂本大志
佐藤聖誠
橘哲也
大浜岳
吉倉万里
浅見真紀
近藤加那子
そして武中真と武中進
ここらへんでTwinCupという私設リーグを立ち上げたりもした。

彼・彼女ら以外にも当時一緒に切磋琢磨をした仲間は他にも多くいて、
当時の仲間達が後に上位リーグにいったりタイトルを取ったりしてる姿を見るたびに、
「自分も負けてられないなあ」と思ってきた部分は大きい。
そしてその思いはお互い様なのかもしれない。

田中巌もその1人だった。

彼と最後にあったのが、
8/25に原宿の脱出ゲームに一緒に行った時。

コンビニで買い物してる時にふとした会話
巌「リーグ戦好調そうじゃん。今年こそA行けそう?」
私『まだなんともね。去年だって結構ポイントあったけどダメだったし。』
巌「そっか。まあ俺はこの間ボロ負けして今年はちょっと厳しそう。ただダメでも来年頑張るよ。」

こんな事いうのも何だが
田中巌は私生活面はダメ人間の見本市みたいな男だった。
「とりえは麻雀だけ」、それを本人も素で昔から言っていたし、まわりもそう思っていた。
でもその実力は折り紙つきで、
実際に同時期に切磋琢磨をしてきた多くの仲間が彼が物凄い高い実力を持った打ち手だと認めていた。
だからこそ本人が長年自分が納得できる結果を出せない事にもどかしさを感じているのも理解できたし、この時の短い会話でもそれが伝わって来た。

まさかこれが最後の2人でしたまともな会話になるとはなあ・・・・
皆で帰りに飲みながら撮った写真が最後の一枚になってしまった。




そういえば第3回TwinCupの優勝は巌で、俺と兄と巌の3人で取った写真もあったっけ。
でもネット探しても見当たらなかった(T_T)
※はこパラなくなる前ならあったのかも

スリアロ人狼でもしられている巌だけど、
俺の中には彼の人狼の記憶なんてほとんどない。
いつもストイックに麻雀打ってる姿、
それこそスピード全盛デジタル時代から頑なに手役の大事さと有効性を主張していた職人気質の打ち手の姿、
そして私生活ではおちゃらけておおらかで、酒飲みながらカラオケ歌っている彼の姿、
そんな色々な姿である。

なんというか、
昔からの仲間の訃報はこれが初めてじゃないけど、
あまりにも突然すぎて本当に本当に言葉が出ない。

「ありがとう」とか「安らかにお眠りください」なんて言葉まだとても出てこないよ。
俺と同じ年だよ?
まだやりたいこと一杯あっただろうし。

本当に色々なショックに言葉が出ない2018年10月9日の夜だった。
https://saikouisen.com/news/%E7%94%B0%E4%B8%AD%E5%B7%8C%E9%81%B8%E6%89%8B%E9%80%9D%E5%8E%BB/

2018年10月8日月曜日

昔効果的だったトレーニングが今も効果的とは限らないというお話

3連休、
家で何気なく将棋棋士の羽生善治大先生のインタビューを読んでいた。
https://toyokeizai.net/articles/-/237722

この中で特に興味をひかれたのが、
"若手の棋士には「詰将棋は技術の向上にはあまり関係ない」という意見もあります"
という点。

「詰将棋とは?」の説明は本記事では特にしないが、
麻雀で言えば「何切る問題」
野球で言えば「素振り」「投げ込み」
まあ要するに基礎的な能力を高める為の効果的なトレーニングとして、
古くから業界に浸透してきた手法である。

この効果を否定する声が(どの程度かは知らないが)近年の将棋業界で起きている、というわけだ。

がこの理由は客観的に見ると最もでもある。
その業界で古来より行われてきたトレーニング方法が現在も効果的と限らない理由は主に二つ

●理由1 技術の進化により従来よりも効果的な新しい方法が出てくるケース
上記事内にて羽生さんがこれについての見解を述べている(一部当方の解釈を追加)

「例えば一昔前はうさぎ跳びが一番効果的なトレーニングだった。
他に良いものもなかったからうさぎ跳びを皆していた。
それ技術進化や器具の発達が起きると、もっと効果的な方法が出来るのは当然である。
それでも旧来のやり方に拘るのは明らかに非効率的ではある」

まあ将棋で言えば、
現在はネット対局、SNSでの情報交換、何より最先端AIソフト、
こういった物を使った効果的な勉強方法があるのに、従来のようにひたすら詰将棋をとき続けるのが一番良い方法か?と聞かれれば否なのだろう。

●理由2 従来のやり方がそもそも効果的で無い事が科学的検証で判明するケース
これについてはかって巨人軍でエースピッチャーだった桑田真澄の以下記事も参考までに。
「がむしゃらに頑張るのはムダ」元巨人・桑田真澄氏が断言する理由
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180727-01494443-sspa-soci

記事を要約するなら
・小学生の時からコーチの指導法(殴る、とにかく見切りなく長時間練習する 等)に疑問があった
・メンタルも互角の勝負では必要だが、まずは互角以上の技術と体力を目指した合理的なアプローチが必要

といった物である。
野球業界では桑田意外にも旧来の精神論を科学的視点で否定し、功績を残した先駆者がここ20,30年で何人も居る。(立花龍司とか石井一久とか)

またこの中で桑田も「スマホ等の道具の進化に合わせて道具の進化に合わせて、指導もより進化させることが出来るし、する必要がある」と理由1についても言及をしている。

さてこれらの話を通して、「麻雀のトレーニング方法」ってヤツについてもここ20年位を振り返ってみるとだいぶ大きな変化があったんじゃないか?と思ったりもする。

今から20年前となると、
一個人が得られる麻雀の情報なんて、
今よりもっともっと少なかったしその情報鮮度も低かった。

一般的に販売されるプロが書いた麻雀書籍、
定期的に入る情報は近代麻雀、月刊プロ麻雀といった書籍くらい、
そして麻雀を打ちたいなら基本的には雀荘に行かねばならなかったし、フリー雀荘も今に比べて圧倒的に店が少ない。
こんな状態である。

それが今やネットで毎日ほぼ最新の情報が手に入る、
誰かと意見交換もネット上で手軽に可能
麻雀が打ちたければネットでも可能。自分の牌譜を後で見直すことも出来るし、ネット通話を使って検討会もできる。

まさに至れりつくせりである。
将棋でも野球でも麻雀でも「自分達が今までやってきた勉強方は効果的である」と盲目的に考えるベテラン指導者は多々居るようだが、
麻雀界について言えばこれだけの環境変化を前に20年前の勉強方法が今でも”一番効果的”と考えるのは論外だろう。

実際に20年前の主な勉強方法といえば
・何切る
・麻雀パズル問題
だった。

何切る問題、
昔に比べてだいぶ見る機会も解く人も減ったように見える。
昔は近代麻雀の各ページの下にちっちゃい何切るが書いてあって、友人とその正解についての討論をした事もあった。
今じゃその代わりにRTDとかを見て、解説とかを元にそれに類似した勉強をしてる人が多いのだろうか。確かにより実践的にも思える。

麻雀パズルもはや勉強方法としては絶滅の危機にあるともいえそうだ。
まあ確かに実力向上というやつに寄与する効果は薄いかもしれない。
「手牌14枚どれを切っても役満聴牌になる牌姿を答えろ」
「現在1フーロしている。高めが役満、安めが2000点の、、、、」

情報スピードが遅かった時ならまだしも現代だったらこれに頭を使うくらいならネットで麻雀打ったりそれをベースに友人と牌譜検証した方がはるかに効果的だろう。
ただこの手の問題も解くことで養われる能力があるのも事実で、個人的には競技選手とかは完全な毛嫌いはせず知識の一つとしてやっといたらどうだろう、と思っている。
「6面待ち、7面待ち、8面待ちを作れ」
こんな超初歩的パズル問題でも結構解けない若手とか見ると、時代の流れを感じたり。

まあただトータルで考えると20年前は勉強への色々な誤解も多かったのも事実。
たとえば「上手くなりたければ上手い人の麻雀を後ろで見ろ」という格言、
これはもう個人的にツッコミどころが多数ある。(絶対的に間違い、とまでは言わないがw)

そういや昔
「彼氏が私の師匠なんですが、彼の指示で1年間麻雀を一切打たずに彼の麻雀をひたすら後ろ見だけする時期があったんです。おかげで凄い勉強になりました。」と飲み会で言ってた女の子がいて、
武中さんいつもどおりに素で「彼氏のせいで大事な時間を一年も無駄にしたのね、、、」と言って号泣された思い出もあったり。





そろそろ総論へと進もう。
麻雀界に限らず色々な業界では「古くからの勉強法」というのがあって、
業界に古くから居る人ほどそういった物の重要性を説くケースが多い。
たしかにその人たちはその方法で強くなった事実もあるかもしれない。が科学技術が進化し続ける中、勉強法というヤツも常に進化をする可能性があり、結局専門家はそのトレンドも知らねばならない。
羽生さんほどの人がその大事さを説いてるのだから、我々下っ端はもっとである。
が、一方で従来の方法が持っている効果的部分のエッセンスも構成に上手く伝えるのが我々の使命、とも思うわけであった。

さて、そんなエッセンスを伝えるために思うところとして、
「何切るって意味があるのか?」という点、昔から麻雀愛好家にて議論され、個人的にも質問をされてきたテーマである。
これについてちょっと思うところの記事へと続く。

気が向いた時に書く予定なのでいつになるかわからんが^^;

2018年10月5日金曜日

今こそ「観戦記」ってやつについてちょっと考えを書いてみる

※先日当方に軽く頂いた質問とそれについての会話をベースに書いた日記となります。

「武中さん。こんにちわ。」
『ああ、どうも。お久しぶりです。』
「ちょっと今日は質問がありまして。」
『なんでしょう?』
「武中さんってブログで結構文章色々書いてますよね。」
『そうですね。コツコツと。』
「前から思ったんですが、観戦記って書かないんですか?」
『ああ、観戦記ですか・・・』
「はい。協会の公式の奴とか、もしくは現在のRTD、それに最近始まったMリーグ、いくらでも媒体はあるとおもんですよ。」
『確かに書こうと思えばかける対象は多い世の中ですね^^』
「それはやらないんですか?武中さんなら書けるとおもうんですよ。」
『まず単純に依頼が来ないから書いてないだけっすw』
「、、、、そ、そうですか。でもブログに書くのならできますよね?」
『うーん、ただね、実は僕、長文の観戦記って奴について結構否定派なんですよね。今後どんどん減っていくと予想してるんです。
「!?えっ?でもどの団体も主要タイトルの決勝とかでは必ず観戦記作ってだしてますよね?」
『現時点ではそうですね。でも今後もそれが続くかは疑問視してます。』


「何故ですか?」
『観戦記ってもともとは対局の映像コンテンツが無い時代に生まれた、いわば”対局の内容・結果を伝える記録”って位置づけだったと思うんですよ。』
「ああ、まあ確かに数年前まではこんな風に色々な団体の対局が映像として見れる時代ではなかったですしね。」
『はい。決勝を見たければ決勝の現場に来るしかない。その中のハイライトについての情報も基本的にはその場にいた人からの伝聞でしか手に入らない。こんな時代であれば観戦記はものすごい大事なコンテンツでした。
でも今はどうでしょう。主要対局はだいたいネット生放送で見れる。しかもハイライトについてはツイッター等でいくらでも情報が流れる。
こんな時代になっても従来の様に事細かい観戦記って必要かと言われりゃ、それは僕の中で完全に”否”なんですね。
ましてや昨今Mリーグ、RTD、各団体の対局、映像コンテンツはもう凄い勢いで増えている中、今までと同じような活字長文のレポートの需要って益々減ってると思ってます。
ただでさえどんな対局マニアでも全部の情報見るなんてできてない時代に、それいちいち読む人いますかね?が僕の意見です。』

「つまり時代の変化で世間が求める情報ってやつが変わっている、と。じゃあもう対局のレポート文章は不要の時代になると?」
『そうですね。少なくとも昔ちょくちょく見たような決勝対局全半荘の東1~南4までの経緯を説明するような観戦記は完全に不要だと思います。
対局映像見ればいいし、それにはりついてる解説を聞いてれば各打牌の意図とかもある程度は解るし。何より有名プロ本人にネットで質問するのも出来る時代ですから。
ただ逆に、こんなに対局の映像コンテンツが多い世の中だからこそ、その中でどれが面白いか?誰が出ていたか?どこがハイライトか?こういった”要点”や”ダイジェスト”を伝える文章、特に”その書き手だから書けるような主観的情報をプラスした物、”
この需要が上がってると思いますね。。
僕もブログでこれはちょくちょく書いてますし、今後も書きたい。』


「確かに最近もう映像多すぎて僕ですら全部は見てないし、”どれが凄かったか”って情報は知りたいですね。」
『そうですね。それ読んで更に細かい詳細が見たい人は映像で見て、って感じの楽しみ方が主流になるんじゃないでしょうか。
ついでに言えばこの時代変化で”読み物の何が重要か”も当然変わってきてると思ってます。』

「と、言いますと?」
『内容の正確さ、詳細さ、これはもう優先度下がってますね。逆に”鮮度”この重要さが凄いあがってると思います。』
「鮮度ですか。。。」
『①対局終わった3日以内に2000文字程度のダイジェスト文章出す
②対局終わった2週間以内に1万文字程度の詳細な観戦記を出す
数年前なら②の方が需要あったと思います。
でも今はおそらく①でしょう。』
「確かに、、、」
『最近読んだこの手の文章で、”見事だな~”と思ったのはzeroさんのこれですね。
自分の主観を前面に押し出した内容の面白さもさることながら、何より対局後すぐに出してる点=鮮度の重要さを第一としている点が素晴らしい。
こういう文章の需要が今後もっとあがると思います。』
http://kinmaweb.jp/archives/38754

「なるほど。だから武中さんは細かい観戦記は今後書くつもりはない、と?」
『いや、単純に公式の依頼が来ないのが最大の原因ですよw
そもそもこれは僕の考えであって、細かい文章も初心者目線とかの色々な需要はまだ確実にあるとも思ってます。
実際、先日最高位戦の方が書いたこの文章とか凄い良いな、と思いました。
牌譜データを自分で作って局についてのピックアップを細かにしているし文章としても読みやすくて。
僕みたいに考えてこういった文章書く人が減少傾向に入るかもしれないし、そうなれば益々続けていってほしいと個人的には思ってたりしますね。』
https://abe-saikouisen.hateblo.jp/entry/2018/10/02/M%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0%E8%A6%B3%E6%88%A6%E8%A8%98_%231_%282018/10/01%29

「僕も読みました!凄い解りやすかったし好評ですよね。牌譜を多用することで、あっさり読みたい人にはあっさりと、じっくり譜面を読見たい人はじっくりと読める作りにしている点も特に素晴らしい。」
『うん。まあ考え方も需要も結局多種多様ですからね。
ただ僕が一番思ってるのは”観戦記ってやつが数十年前から麻雀界で慣れ親しまれてきたから今後も同じ形で必要”とは必ずしも思ってない、って点ですかね。
本当にそうなのか、今後どうなるのか、これは僕にもわからないですけどね。』

さて、武中進の予想は今後あたるのでしょうか?
10年後にこの日記についての感想日記を書こうと思います!
・・・覚えてたらw

2018年10月3日水曜日

Mリーグを見て「麻雀」に興味を持ち始めた方に何を勧めるか考えてみた

いよいよ開幕したMリーグ。
既にネットとかで色々な意見が伺えるけど、
ちょっと目を引いたのが「麻雀の役説明とかをしてほしい」といった、いわば「初心者向けアプローチ」の部分についての意見。

まあ実際、
「対局放送は初心者には向いていないコンテンツ」
という根本的な事実があると思う。
くるくる回るカメラとスピーディーな進行、
多分どんな補足をしたってこれで麻雀を覚える媒体とするのは無理だろう。
なので「Mリーグは初心者でもわかりやすい方法を検討すべき」って意見は僕の中ではちょっと微妙。
「コンテンツ」というやつにはそれぞれのターゲットがある。全員をターゲットにするものなんてありえない。

ただまあ、
「これを見た人が麻雀に多少なりとも興味を持つコンテンツにする」って点での工夫はこれからの課題かなあ、とも思う。
この点は格闘技やスポーツはやっぱりとっつきやすさがあるし、そこと比べられるのは正直にきつい点もある。

まあ、「和了時の手役表示」「テンパイ時の待ち表示」あたりを検討するのはありかもなあ、とは思った。
高打点テンパイ時は「満貫確定」「跳満確定」とかのテロップ演出はあってもいいかもだし。
リアルタイム故に限界あるかもだけど。

しかしまあそれを置いとくとしても、
やはりMリーグが世間で注目を集める一方で、
「麻雀に興味を持った人がさらに興味を持つコンテンツ」
「初心者がルールを覚える為のコンテンツ」
これが何か?というのを業界として整理した方がいいかもなあ、とも思ったここ数日。
実際に僕とかはもう麻雀にどっぷりつかりすぎてて、これを聞かれても回答ができない部分が多い。

まあ個人的な意見を言えば、
やはり乗っかり部分としてお勧めするのは「麻雀漫画」および「麻雀アニメ」だろう。
このブログでもいくつかの麻雀漫画を以下のように紹介してきたが、
http://susumutakenaka.blogspot.com/p/blog-page_57.html

「ちょっとだけ興味持った人」にお勧めするなら
①哲也-雀聖と呼ばれた男
https://susumutakenaka.blogspot.jp/2017/05/blog-post_12.html

②咲 -Saki-
https://susumutakenaka.blogspot.jp/2017/02/1-saki.html

この2作品かなあ。
両方ともテイストがかなり違う作品なので、
ぱっと絵を見て興味持った方を読んでもらえれば^^;
アニメ化もしているのでYoutubeとかで検索すりゃ出てくるかと。

そして「最低限のルールを覚えたい」という人向けに何が良いか?という点。
まあ今のご時世ならまずネットの無料コンテンツがある。
①活字での情報
まずは最低限は文字で読んでみる必要はやはりあるかと。
ぱっとネット探してあった麻雀入門コンテンツ。
・初心者のための麻雀講座
対話型の文章で非常にわかりやすい内容です。お勧め。
http://www2.odn.ne.jp/~cbm15900/html/n0.html

②アプリ
最近の人は結構アプリで覚えた人が多いみたい。

・麻雀 VirtualTENHO-G!
「ピンフを作れ!」「混一色を作れ!」みたいなモードがあるらしい
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.bustercurry.virtualtenho_g

・闘龍 麻雀入門編
完全初心者向け
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.crossfield.mahjongbeginner

・MJアプリ
「トレーニングモードで麻雀覚えた」って意見が多かったです
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.sega.am2.MJMobile

んー、
ただやっぱいずれのアプリも僕はつかった事ないので、
いつかちょっと見てみてそれぞれの感触をまとめた記事でも書くかなあ。
僕はちなみに
①親戚に簡単にルールを教えてもらって牌に触れて軽く遊んだ
②入門書を買って読んだ
③家族麻雀を年数回 + ゲーセン
って感じで麻雀に入りました。

だからこそ
深く考えずに麻雀教室とか一回行ってみるとか、
もしくは知人に「麻雀打ってみたいのでルール知ってるなら教えて」って言ってみるとか。
とにかく実際の牌に最初に触れてみるのがいいかなあ、とは思う。
まず楽しさに触れないと興味もわかないですからね。
そのあとでとにかく打ちたいならネット麻雀があるけど、最初は対人をやってみるのを個人的にはすすめます^^;



なんか誰をターゲットにしてるか良く解らない記事になってきたけど、
業界として、個人としても「麻雀に興味持ったならまずこれ見て!」と言えるものをまとめておく大事さ、
Mリーグからの世間の反応みてちょっとだけその大事さを考えた。
というお話。

まあぶっちゃけ僕自身は、麻雀の普及って奴にバリバリ熱心に活動してきた人間じゃない。
そもそも「初心者に麻雀教える」のと「慣れてる人に技術を教える」ってのは全然求められるスキルも違う。
初心者向け教室の先生やってるプロとかはそれに特化したスキルも持ってるのです。
それを麻雀プロ全員が身に着ける必要があるか?と言われりゃそれもちょっと僕の中では否。
たとえばMリーグのトップ21人の使命は麻雀を打ってる姿を見せる事、それを通して興味を持ってもらう事であり、
彼らが初心者に教える技術を身に着けるとしたらそれは第一線から退くときでいいと思うし。
「望遠鏡は顕微鏡の役目も果たすべき」っていうのは違うでしょ?

実際にこの業界見てて
「打ち手としては一流だけど教え手としては二流」という人も、
「打ち手としては二流だけど教えてとしては一流」という人もいます。
麻雀界が村社会ゆえに誤解してる人もいるけど、全員がすべてのスキルを持つ必要はないと僕は思ってて。

まあ勿論全員が全スキル持てれば理想ではありますけどね^^;

2018年10月1日月曜日

麻雀を「見世物」と考えたときに見栄えって難しい。というお話

麻雀プロの強打ってヤツについて、
著名な愛好家「雀ゴロK」さんのツイートがあった。
まあ要約すれば「いついかなる時も強打は避けるべき」という内容。
https://twitter.com/janngoroK/status/1046529149966249984

ちなみに僕の意見はちょっと前に書いたように、
「勝負どころの強打」というのであれば嫌悪感は抱かない。
が、まあ放送でとにかく強打しまくってる有名プロとか見ると「愛好家が真似すると困るからまじで辞めて欲しい」とは思うw
今後特に気をつけてもらいたいけど、直す気あるのかなあ・・・・
https://susumutakenaka.blogspot.com/2018/09/blog-post_12.html

正直に現時点では水掛け論になる議題ともいえる。
でもまあ、
「絶対するべきじゃない」って意見はあまりにも玄人好みの視点、とも個人的には思うわけです。
注目される放送になればなるほど麻雀の知識が浅い人が視聴者に多くなるし、そうなると「勝負の分かれ目」ってヤツを視聴者に伝える演出も大事な部分がある、ってのは発信側の意見の一つではある。視聴者は僕等とかの想像以上に「解りやすさ」を求めるケースが実は結構ある。

10年ぐらい前に凄い印象的な出来事があった。
その日とある女流の対局の手伝いをしていたのだが、とある半荘のオーラス
・AさんとBさんの2人によるトップ争い
・点差はわずか500点
・西家のBさんが3フーロ
・親のAさんもノーテンでは終われない中前に出て終盤テンパイ

そしてハイテイにAさんが3sを引く。
これはBさんの大本命。
フーロ状況、通った牌からも両面だったら3,6s以外ほぼない。
が、もはやこんな物止めても意味が無い。ノータイムでAさんが切った結果Bさんに放銃となった。

が、
集計が終わった後に、たまたま観戦に来てたメディア関係のお偉いさんがAさんに話しかけこんな会話がされていた。
「3,6sを危険と思わなかったの?」
『もちろん危険ですけど止められるわけがない局面ですから』
「それは解るけど、せめて切る時に迷うそぶりとか苦しそうなそぶりしなきゃ。ファンに思考が伝わらないよ。」

僕としちゃ、聞いた時も今となっても「ズレた発言だ」と思ってる部分はある。
「そもそも麻雀のゲーム性を誤解してるなあ」とさえ思った。

ただ言いたいのは、
この人の意見含めて、
世間の人が”ショーとしてみる麻雀”に「解りやすさ」ってのをある程度は求めている、という事実。
それは多分僕等の想像を超えたレベルのものを求める人もいる、という事実。

まあ僕としちゃ「不要」と思う点が多いです。これは勿論。
でも僕等の視点はあまりにも純粋な麻雀のゲーム性の追求に偏りすぎちゃう事がある、
これはちょっと時には危機感を覚えなきゃいけないのかな、
と思う時もあるというお話。

実際今日からはじまるMリーグにて実験的に時間制限システムが入るというのも、こういったショーとしての見栄えの追及があるという事をあらわしてるわけで。

ただまあ強打についちゃ本当に程ほどにして欲しいですけどね。
いっそ1半荘3回までとかルール作るのどうだろw
・・・まあ既述の通りこれは本当に最終的には水掛け論になる議題なんですが^^;


さてMリーグがいよいよはじまる。
そして今日登場する打ち手、つまり記念すべきMリーグのトップバッターを飾る4人が以下の通り。

個人的にはねー、
この歴史的な舞台に園田賢と萩原聖人って全く異なる道を歩いてきた2人がいるのが、
なんというか運命じみたものを感じる。

園田は麻雀プロとして下っ端からこの業界に入り、
とにかく「どうすれば勝てるか?」という視点からこのゲームと向き合い続けて来た男。
業界内では凄い高い評価を受けてきたけど、それが表舞台の光をあび始めたのはここ最近。

一方で萩原さんは数十年前から麻雀メディアの表舞台に長年経ち続けてきた人。
当然もう最初からスターとして扱われてきた中で、このゲームを勝ち負けの視点からつめてきたかというより、とにかく業界の知名度アップに努めてショーとしての見栄えについての大事さを唱え続けてきた人。

まさに業界内での評価も立ち位置も間逆の方面に居た2人に僕には見えるのです。
そう考えるとその2人が同じ場所で相打つのが本当にこの業界の大きな一歩の始まりにみえなくもない。

さて本日18:30、
いよいよですね。
https://abema.tv/channels/mahjong/slots/8uxEBMJLL95ZKm