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2017年9月13日水曜日

会社員が麻雀プロになるとして⑧:「麻雀にダイブしたい」という葛藤

さて、
当協会のAリーグ最終節が終了した中で、ちょっと思う事があったので書いてみたい。

今回主にピックアップするのはAリーグ最終節にて最下位で降級となった田幸 浩さんについて。

田幸さんは協会三期生、宮崎和樹・橘哲也・大浜岳あたりと同期である。
普段は長野県で会社員をしており、
妻子のいる身でありながら競技麻雀を10年以上続けている。
そして去年念願のAリーグ昇級を果たしたが、今年は残念ながらの陥落となってしまった。

まず正直な僕の本音を書く。
僕は田幸さんの実力をそこまで高く評価していない。
今期のAリーグの中で「降級候補は誰か?」と聞かれれば迷うことなくまず田幸さんをあげていただろう。

攻撃力、守備力、どっちをとってもAリーグの他の面子に見劣りする。
「田幸さんが弱いというより、他の人達が強い」というのが正直な意見だった。


ただそんな客観的な打ち手としての目は差し置いて、
彼が今年のリーグ戦で大きなマイナスをきっして、そして降級が決まった時に、
どんな気持ちだったかは正直に察するに余りある。

会社があり仕事がある、
妻がいて家族がいる、
金銭的にも距離的にも
「会社員と麻雀プロ」という立場を両立するには枷が多すぎる立場にいる。

長年の夢だったAリーグにいて、
全く歯がたたなかった一年、

自分がもしもその立場だったとしたら、
自分の環境を色々と考えて「ここら辺が限界か」と思うだろうか

守るべきものが多くある中で、
それでも周りにいる化け物みたいに強くて麻雀漬けの日々を送っている人達を凌駕できる、そんな風に楽観視できるほどプレイヤーとして青くも無い。
もっと麻雀に狂ったように時間を費やしたい。研究がしたい。でもその一方でおろそかにできない物も多い。

「ほどよく麻雀を楽しみ、ほどよく生活を守る」
そう割り切っていつでも考えられれば理想的だ。

でもそれは死人の考えに近い。
血の通った打ち手、競技選手は100人いたら100人、そんな風には割り切れない。

全てを捨てて麻雀にダイブして、
どこまで通用するかやってみたい、
こんな考えが彼の頭を掠めたりしたのかもしれない。




「麻雀との上手い距離のとり方」

会社員が麻雀プロをやるには物凄い重要なスキルである。
でもそれはある意味で、どこかにリミットを設ける考え方でもある。
その限界を突きつけられた時にどうやって精神を保つべきか、競技を続けるべきか、

「我々の人生のテーマだよなあ・・・・」とか思うのでありました。
そんな事考えずに選手がひたすら競技だけに研究だけに集中できる、
そんな時代がいつか来るのでしょうか。


自分の限界をとことん突きつけられたかのような無念の思い、
これからの自分と麻雀の付き合い方に対する葛藤、
それらをつぶやく彼の姿を思い、
色々と共感せずにはいられない面があった。

そんなお話でした。