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2019年10月28日月曜日

直感のススメ その1

「武中さん。ちょっと聞いてもらえますか?」
『ああ、キバヤシさん。どうかしましたか?』

「先日こんなことがあったんです。
南2局 6巡目
五五六七七八九⑤⑥⑦⑧23 ツモ⑤ ドラ3
27000点持ち、トップ目32000点ぐらいでした。」
『1-4のピンフドラ1聴牌ですね。まあリーチでしょうけど。それが何か?』
「この時僕、なんかダマテンの直感が入ったんです。嫌な予感というか・・・」
『ほう。』

「でも冷静になってこの状況で2000点ダマとか温いと思ってリーチしたんですが、しばらくして親に追っかけられて放銃して、これが響いてこの半荘ラスになったんです。
ちなみに親の手に1が暗刻で。リーチ時点では1-4待ちの薄さが分からなかったけどなんかダマにした方がいいと感じるような直感が働いたのに、それに従えなかったゆえに、、、って感じで。」
『はあ。そうですか。』
「こういうイヤな予感というか直感って、武中さんも感じたりします?素直に直感に従ってダマにすべきだったのでしょうか?」


『そうですね。まず一つ答えるのであれば、直感っていうのは人間誰でも備えてますし僕にもあります。それはすごい大事なものです。』
「、、、」
『なんでしょう?』
「意外です。”そんなオカルトあるわけない”とか言われると思ったのに。」

『オカルトでも何でもないですよ。直感というのは人間の脳のすごい優れた能力です。
多くの情報を受けた後、本人の持ってる知識(理論)をもとにそれを並列処理して瞬間的な一つの判断を即時に下すことが出来る力、これはスーパーコンピューターですらマネする事ができません。』
「そ、そうですか(いきなり熱く話し始めたな)。」
『有名なケースで言えば将棋ですよ。ルールの決まったテーブルゲーム、と言われればそれまでの分野なのに、この中でさえ人間を上回る事にコンピューターは長い時間を要してます。人間の直感がいかに優れた武器かを表した証拠ですね。』
「ああ、そういえば将棋とかでプロとアマじゃ利用する脳の部分が違う、とか聞いた事ありますね。」


『はい。アマの人が左脳を積極的に使うのに対してプロはそれに右脳も積極的に使っている事が研究で解ってます。』
「両者の違いは何ですか?つまり右脳が直感?」

『すごいざっくり言えば、
・左脳:知識をつかさどる脳。直列処理型。
・右脳:直感をつかさどる、並行処理の脳。
と言われていたりしてます。

両者の処理を超ざっくり比較したのが以下の図です。
左脳は順番に一つ一つの物を処理しますが、右脳はこれらを同時処理します。
これが直感と呼ばれるものの正体です。コンピュータも凌駕する大量瞬間処理ができる人間の武器ですね。
ただこれには無論多くの知識の蓄積も必要だし、無意識的に選択を引き出すには長い鍛錬も必要です。
将棋でも経験と鍛錬を積み続けたプロだからこそ、右脳で多くの事象を処理できるわけですね。


「つまり直感とは知識の無意識的な活用であり、脳の力の延長線上ってわけですね。」
『はい。知識を瞬間的に利用して答えに変換する、これが”直感”の正体です。けしていい加減な能力じゃないしオカルトでもないです。
ましてや麻雀は曖昧かつ方向性の違う情報が多々存在しているゲームです。
自分の手、捨て牌、巡目、点棒状況、ほかにも相手の所作などの細かい情報含めて一つの解を瞬時で出す”直感”は勝つ上で大事な要素だし、これを鍛えるのは大事ですよ。』


「という事は、僕はやっぱりあの時自分の心の声に素直に従うべきだったんですね!ミスったなあ。。。」
『それは違いますよ。僕が思うにキバヤシさんのケースはただの気のせいです。』
「・・・へ?」

続く