麻雀プロの強打や引きヅモというのは世間でたびたび議論の対象になる。
まあ毎回毎回バチコンバチコンやるヤツがいたらたまったもんじゃない。
それはさすがに問題行為だし、そんな奴と同卓したら即刻立会人を呼ぶ。
が、一方で「勝負所の和了とかでやる分には良くね?」と僕とかは結構思ったりする。
リーグ戦やタイトル戦、
そんな選手たちの戦いの最後の最後には「勝負を決める和了」という物がある。
最後の半荘の最終局の和了という意味ではなく、勝負の大勢をほぼほぼ決定づける大きな価値の和了という意味。
特にそれが出る直前や出た局面での綺麗な強打や引きヅモは美しいと思う時すらある。
今期のAリーグ最終節4回戦、
2年連続で熾烈な残留争いに巻き込まれていた矢島亨、
ラスさえ引かなきゃほぼOKの最終戦もラス争いに巻き込まれいてた彼が、
南3局親番にて勝負手のリーチを入れる。
六七八⑤⑥⑦⑦⑦34567 ドラ 8
好配牌を貰うもなかなかに伸びないツモの中、
阿賀から先制リーチをうけ、
残留の為に全ツをして追いついたこの手、
矢島とまあまあ長い付き合いの自分としては「多分ツモ牌持ってきたら卓が叩き割れんばかりに引きヅモするに違いない」と思っていた。
その数巡後に山にいた8
六七八⑤⑥⑦⑦⑦34567 ツモ 8 ドラ 8
卓が割れるレベルではなかったが、やはり卓に8を叩きつけてのツモ宣言。
息が詰まり即座に「4000オール」と口に出ないあたりもどれだけ待ち望んだ和了かが伺えた。
「ちょっと(打牌が)強いな^^;」
同卓していた阿賀より。
この和了が矢島にとってどれだけ大きなものかは知りつつもの一応の注意喚起が出た。
まあただ気持ちはわかる、見ていてそんなシーンであった。
さて前にも書いたが、
武中進は
いや武中兄弟は、
麻雀界にて「打牌フォームが汚いプロの代名詞」として有名である。
とにかくおぼつかないツモ動作と切り動作、本当に麻雀プロには全く見えないフォームらしい。
故にどんな勝負所でも引きヅモも強打もほぼしない。
いや、力んでやっても大体「ガツッ」とかなって汚く終わる。
http://susumutakenaka.blogspot.com/2017/10/blog-post_19.html
話を上記Aリーグの前日、自分の最終節の話へと移行する。
僕にも「勝負を決める和了」が確かにあった。
2回戦終了時に+410Pほどで総合2位、
この3回戦でトップを取れば最終戦を待たずして9割方の昇級が決まる場面だった。
半荘トップ目の松本まで約3000点差の2着で迎えたオーラス親番、
トップの松本が2副露で聴牌濃厚な中でそれに追いつく。
一二三五六八八②③④678 ドラ 六
マンズは松本が既にドラを切り出してるのもあり場に安い。
ツモれば裏ドラに関係なく次局ふせてのトップ終了が可能。
つまりは昇級をほぼほぼ決める一手になりうる。
この時心の中でひたすらに
「俺が引きヅモなんてしてもどうせ失敗する。ツモ牌を持ってきたら出来る限り静かに和了宣言をして牌を置こう。冷静に冷静に。」
と思っていた。
そんな中での数巡後、
今期のリーグ戦を完成させるほぼ最後の1ピースが手の隙間から見えた。
ゆっくり静かに手牌の横に置き、静かに「ツモ」と和了を宣言する。
一二三五六八八②③④678 ツモ 四 ドラ 六
うん。出来もしない引きヅモより、こっちの方が自分っぽい。
私は冷静だ。
同卓者よ。
ギャラリーよ。
見たかね。この淡々としたたたずまいを。キリッ
とか思いながら倒牌へと進んだ瞬間だった。
ガラガラガッシャッ、、、、
冷静を装っても手元の震えまではおさえられなかったらしい。
ただでさえ不器用な牌捌きとあいまって上手く倒れずにに思いっきりぐしゃぐしゃに散らばる13枚、
周りの苦笑、恥ずかしい気持ちになりながら裏をめくって「2600オール」と宣言した。
そして次局も無事に流局して「ほぼ決まった。でも最終局も油断せずに行こう。」と思う中、
観戦していた後輩に「顔はスカしてたけどすげー手元震えてましたね・・・」と突っ込まれたのがこの日一番恥ずかしかった(ーー;)
16年間逃げ続けていた「牌捌き下手すぎる問題」、
来年のリーグ戦は放送も入るし、いよいよ今まで以上に本気での改善のための修行をするか・・・
でもここまで来たら個性って事で逃げちまいたい気持ちもあり。というか直せるならとっくに直してるし・・・
そういや10年前、
連盟のケネス徳田氏に
「Vシネマむこうぶちの手タレやってくれない?お前くらいの不器用さのヤツちょうど探してて。」
とか言われた事もあったなあ。
懐かしい。