対面に座っていた男は明らかにフリー麻雀に慣れていなかった。
フリーには色々なお客さんがいるが、
どの程度麻雀になれているか、
どの程度フリー麻雀になれているか、
は挙動を見ているとなんとなくわかる。
柔道の達人が相手の柔道着の着方を見ただけで実力を見わけるように、手応えで 感じてわかった……………承太郎はTVゲームに関してはマジにド素人だ!
とでも言うべきか
ちなみに言えば細かい実力なんてわからない。というかフリー麻雀で同卓した対戦相手の評価なんて正確にはできないのである。これは以前書いたこの記事を参照。
さて対面の男の話に戻る。
とにかく挙動が落ち着かない彼、
鳴ける要素が無い時やノーテンの時は河を一切見ない、
聴牌が近づくほどに挙動は力強くなりそれを見てると「もうそろそろ」というのも伝わってくる、
「色々と筒抜けだなあ^^;」と思っていた。
が、筒抜けだからと言って負けるとも限らない。男は激しい挙動を繰り返しながらも手牌には恵まれていた。
とある局、
彼が序盤に四、三、五と切ったかと思ったら、中盤以降に再び三、四と手から出てくる、
挙動もどんどん力強くなり聴牌っぽいが、どんな手かはよくわからない。
と思っていたらメンバーの切った發にロンの宣言
一一一一二三⑦⑧⑨11發發 ロン 發 ドラ 1
チャンタ・發・ドラ2で満貫である。
が、それ以上に河に並んだ三四五三四のマンズを見て「どんな進行だったんだろ、、、」と興味がわいてしまう。
まあ最終手出しの四切る前にとっくに張ってて、マンズは大体がカラ切り、といったところなんだろうが、それであればかなり前から聴牌だったはずでリーチをしなかったのが不可思議。
だがあんまり考えるのも野暮かと思いながら、その後局は進みオーラスとなる。
自分は南家でトップ目、
対面の男がその14000点下の2着目(跳ツモor倍満条件)、
それ以外の二人は点棒的に苦しい状況。
アガリ連のルールゆえしっかり守ればトップはかなり濃厚なこのオーラス、
対面と親を警戒しながら打ってはいたが対面は序盤から終盤まで微動だにしない。
先ほどまでの彼の動向を見てれば逆転手が聴牌に近づけば明らかに態度に出ると思われる中まったくもって動きが無い。
(手が悪いのか・・・)と思った中で上家の親からリーチが入る。
全員の現物はしっかりと必要枚数確保していたので余裕をもってオリ、あとは流局をねがうだけだった。
だが残り2巡のところで場が動く。
対面の彼が親の切った③に声たかだかに「ポン」と宣言、そして打⑦で勝負をしてきた。
(えっ?全然聴牌の挙動じゃなかったのに・・・・)
と少々戸惑ったが、結局親も対面もあがれずに流局、自分のトップが確定する。
だが対面のあけられた聴牌形を見てさらに驚く。
②②③④④⑤⑥⑦⑧⑨ ポン③③③
②⑤待ちの跳満聴牌。
へー、、、と驚いた。
前述の通り毎回挙動でどの程度の手が入っているかが丸解りだった彼がこの局は一切動きを見せていなかったのだ。
にもかかわらずツモ条件を満たしたこの形、しかも③をポンした後に聴牌どりを悩んだ気配もなくノータイム打⑦。
なんかさっきまでと全然違うな。。。
ん、でもこれ②切ってたら①④⑦待ちだったしそっちの方がいいんじゃ。②ノーチャンスだし。。。。。。。
待てよ?鳴く前って⑦あったんだよな?どんな形だったんだ???)
と考えて鳴く前の形を確認してみる。
②②③③③④④⑤⑥⑦⑦⑧⑨
なんとびっくり②③④のメンチン待ち。しかも③はイーペーコーついて16000でトップ逆転だったわけである。
なんだろう。
なんで今まであれだけ挙動不審だった彼がこの局だけはすべてノータイムで打ってんだろう?
局の途中も鳴き判断とか、最終形確認とか、この手こそいつもよりさらに悩みそうなのに・・・・
考えれば考えるほど謎だった。
だが推察するに、「おそらく彼はこの形が難しすぎて思考がオーバーフローしてしまった」というのが僕の中での予想である。
確かにメンチンは難しいし、いきなり入ると緊張してしまう。彼はもうパニック状態で何も考えられなかったに違いない。気持ちはわからなくもない。
「さっきの局は16000逃しちゃいましたね」
なんて言えなかった。
彼は多分一生懸命だった。パニックになっている心を周りに悟られない様に全力で平静をふるまった結果ミスをしてしまっただけなのだろう。
この事実は彼には告げず墓までもっていこう、僕はそう決めて次の半荘にいったのだった。
そして次の半荘、東2局に彼はホンイツをあがる。
僕からあがる。
今度はいつも通りに必死に長考して見逃すことは無かった。
3445678中中中 555ポン ロン 4
おい、こっちはちゃんと長考するのかよwさっきの100倍くらい簡単ですけどw
心の中でつぶやいた冬の日。
皆さんもメンチンでパニックになりかけたら「ばれてもいいからちゃんと時間をかけて待ちを考える」、これを心がけましょう!