ちょっと前に雀荘の待ち席で、
「戦略本って買う意味があまりない」
「今は対局の動画がいくらでもあるし、それ見てればいい」
っていう話がされていた。まあ確かに10年前なら麻雀の教材は戦略本くらいだったけど、今では生の教材も多く世にあり、本の重要性は昔ほどは高くないという点はそうかもしれない。
、、、が戦略本には戦略本の優れた点があるのです。今日はそれについてちょっと見解の記事を書こうかと。
さて唐突なのですが英語のクイズを出したいと思います。
① This is a beautiful flower.
② This is a flower beautiful.
どちらが正しい英文かわかりますかね?
多分大体の人は正解できると思います。
答えは①「This is a beautiful flower.」の方です。
じゃあなぜこっちが正解か、わかりますか?
多分この質問になると明確な理由を説明できない、「なんとなく」という人がちょくちょくいるんじゃないでしょうか?
答えは「beautiful」という単語は形容詞であり、形容詞は修飾する名詞(今回だとflower)の前に置く、これが文法のルールだからです。まあ英文法に明るい人は色々な細かいルールが頭をよぎるかもですが、今回のケースはこれにより②は「間違い」なわけですね。
さて今日言いたいのはそんなことではなく、①が正解となる理論は答えられなくても、①が正解だと知っている人間は多数いる、この点なんですね。
そしてそれがなぜか?と言われれば「いままでの経験上」なわけです。
このブログでも何回か触れてきたのですが、経験というやつの力は絶大です。早い話、これはどんな理論よりも強い力を与えてくれるケースが多い。
ところが、これを経験レベルで納めている人、理論レベルに落とし込めていない人が麻雀でも多いのも事実、
そしてこれを理論レベルに落とすことが出来ている人、というのはやはり非常に間違いがすくなくて、新しい局面にも対応する力が高い。そのフィールドの広い人を"上級者"と呼んでいいでしょう。
これは経験、理論のどっちが欠けてても結構難しい世界なのです。
冒頭にある英語の例に戻ると、「ある程度今まで英語に触れてきたし正解は解った」という人であればその発展、例えば
・SVC、SVOC等の文型
・関係代名詞や不定詞の適用法
という分野も今までの経験をもとに理解をすることはそんなに難しくはないかもしれない、ところが「そもそも英語のイメージがない」「利用経験がない」という人にこれを教えるとなると難易度が跳ね上がります。理論を説明しても「?」か「ふーん」で終わって、少なくともその瞬間には腹に落とせないでしょう。
逆に言うと、既にそういったイメージを多く持っている人ほど「宝の持ち腐れ」になってるケースも多い。でもだからこそ、ある日これらを体系立てて勉強したら内容がものすごいすんなりと腹に落ちて、そこから「じゃあ今まで見てきたこのケースはどうなんだろう?」という考えにつながって、今まで雑然としていた情報がつながって一気に視界が広がるケースがあるわけですね。
「意識と理論がつながる」、この瞬間は結構重要なのです。
というわけで冒頭の部分の結論にようやく。
対局の動画というのは”経験”の面では非常に有益な材料です。何を切ったかという結果と、それに対する解説者の説明があって、これ以上の材料はないくらいに有益。(こんな良コンテンツが転がりまくってる今のご時世から麻雀学べる若手ってのは僕から見るとズルいとすら思ってしまうのですが、この話題はいつかまた今度)
ただし結局これを腹に落とすには、その裏付けの理論を知らなければいけなくて、これを補うのには本の方が絶対的に有利な部分が多いです。本というのはある程度一貫したロジックで書かれていて、そこにある情報が今までの経験で得た意識とつながった時に本当に大きな力になるので。
というわけで「本も動画もそれぞれ大事」という非常にあたりさわり無い回答で今日の記事は終えるのでました。
実際の選択でも
「パット見て思い浮かんだ選択」と「じっくり理論を考えて改めて思った選択」この二つが一致した時は大体が一番効率的な選択であるケースが多いですね。
例えば最後にちょっとした例を
東1局2巡目
一一一三五六七八566789 ドラ⑥
何を切りますか?
まあこの際リーチを打つという選択はちょっと除外します。また索子のソーズの6sと9sの優劣もちょっと脇に置きましょう。(ここも巻き込むと話がおさまらないのでw)
これらを一旦外して9か三か五あたりを切ってイーシャンテン戻しをする前提で考えた時、ソーズとマンズだったら理論的に損得差があります。これを理論的に抑える事が出来て、かつパっと見で索子を選べる、こういう状態がやっぱり良いと個人的には思うのです。
※念のために言うと僕は9s切るのですが、マンズ切りをそこまで否定的に考えてるわけではありません。あしからず。
おしまい