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2016年11月4日金曜日

麻雀を上手くなると却ってタイトル戦決勝で勝てない?

という説を個人的にはちょっと考えております。
というのも普段多くの人が打っている麻雀(フリーやセット)は、
基本的に「4者の妥協」によって成り立っている側面があるゲームだからです。

みんな東1局には「トップを取りたい」と思っているが、
局が進めば進むほど点数状況に応じて目的を変えてくる。
「2着でよし」「3着でよし」という妥協をする者が生まれる中で、
トップの人間は点棒の壁を使っておりきって逃げ切る、
このような展開が一般的な麻雀では非常に多いのです実は。

これはフリーやセットのような一般的な麻雀が、
「無限に近い回数を前提に、出来る限りのプラスを目指す」と考えているからなんです。

つまりこのゲームがダメでも次頑張ればいいし、次がダメならその次、
1,2,3着にそれぞれうまみがあるし、ラスでも素点があれば被害は抑えられる。

ところがタイトル戦、特に決勝はそうはいきません。
ただでさえ回数にしっかりとした制限がされている中で優勝だけに強烈なうまみがあるシステム、
言うのであれば通常の麻雀とは明らかに一線を画した異常な場所なんですね。

そうなるとどのような状況が生じるか?
いつもだったら「後はオリてれば勝てる」「このまま慎重に逃げ切り」といった概念が通用しなくなる、
つまり明らかに求められるバランス感覚が変わってくるのです。

さて本文のタイトルをちょっと振り返ります。
「麻雀が上手い」というのはバランス感覚に秀でている事を指すと言っても過言ではありません。
「押すべきところで押し、引くべきところできっちり引く」これがしっかり出来ているのが基本的には強者です。

、、、、ところが決勝という舞台ではこの羅針盤が全く当てになりません。
普段の押し引きでは大人しくすべき箇所が引いてはいけないポイントだったり、その逆も叱りです。

特にポイントをある程度持っている局でも攻めなければいけないケース、
そして追うべき場所で「ここで放銃したら負け決定」といった場面でも歯を食いしばり無茶をしなければいけないケース、
これが出てきます。

しかしこういう時「オリての延命策」というのも当然選択肢に出てくる。
そして麻雀ってオリて延命する事は実はそんなに難しくないからこそ、
「これが敗因になってもいい=自分で負けを決定してもいい」と腹をくくって攻めるのは大変なんですね。
普段きっちりとしたバランスで打てている人であればあるほど難しい。
そして大舞台になればなるほど難しい。
下手をすると自分で自分にトドメさすことになるわけですから。
そして延命を選び続けて敗退してしまう・・・・・

これこそ「普段優秀なバランスで麻雀を打てている人=上手い人」ほど却ってタイトル決勝では負ける可能性が高い、と考える理由です。

今まで何人もの定評のある打ち手が決勝のこの特殊状況に屈した局面、
その逆に決勝だからこそ、若手の無邪気さがベテランの技術を打ち崩す所を何回も見てきました。
誤解を恐れずに言えば、新人王戦とかはそういう展開が多いのは事実かもですねw

まあこの「決勝のような限定状況でも勝てる思考を身につける」って点も競技麻雀の重要な技術であり、
「それが身についてない様じゃ強者じゃないよ」って言うのが実は正解なんですけどね。
でもこれって難しいんですよ。本当に。
ぶっちゃけ僕も数年前までそれに気づかなかったです。

まあついでに言えば放送対局を見ている人達が大体目にしている舞台「決勝」での選手のうち方って、
実は慣れている人ほど普段とは全く違うケースがあるんですね。
去年の木原さんとかその典型だし、たろうさんだって普段とは違ううち方している部分は間違いなく存在します。
ニコ生で「その放銃やりすぎだろ」とか言うようなコメントを見て、
「そりゃ普段ならやりすぎだけど決勝なら全然ありよ」と思う事はちょくちょくありますね、個人的には。


さて、決勝の特殊性とそこに対する決断ってやつ、
これが生んだ印象的なシーンは幾つかあるんですが、
個人的に凄い思い入れがあるシーンが2つあります。

片方は僕が優勝した(ここ大事)第13期雀竜位の決勝12回戦東1局、
そしてもう片方は現Aリーガー小川 裕之が優勝した第11期新人王の5回戦南4局(オーラス)

気が向いた時に記事にしましょう。

まあそれよりも明日は雀王決定戦三日目なので、
皆様是非是非ご覧ください。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv279906403?ref=sharetw

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