今日とりあげるのは「根こそぎフランケン」
片山まさゆき先生と同じく麻雀漫画の巨匠として有名な押川雲太郎先生、
その最高傑作と名高い作品。
主人公のフランケンはとんでもない爆運を持つ史上最強の麻雀打ちである。
序盤はそんな彼の強すぎる実力が起こすドタバタ劇、
そして中盤以降は基本的には「周りの凡人が彼にどのように戦いを挑むか」というテーマの中に、
各人の葛藤や勝負論が描かる名作。
博打の世界や博打打ちの生き様の中で描かれる魅力的なキャラクター達、
これは押川先生の漫画の最大の持ち味であり、それを象徴する作品となっている。
その中でも一番際立っている人物はやはり竹井だろう。
物語の中でフランケンに並ぶ、もうひとりの主人公の位置づけされており、ワニ蔵や田村と同じく「超一流」として描かれている打ち手である。
主人公のフランケンは神がかり的な強さと天真爛漫な性格ゆえに多くを語らない。
よって物語の中核部分の語り部として彼が置かれており、勝負事に対する多くの名言を作中で残している。
数多くの押川漫画の中でも屈指の人気人物であり、後の幾つかのスピンオフ作品にも出演しており、押川先生の「麻雀小僧」の主人公である「まー坊」の父親は竹井という設定なんじゃないか、という噂もあったりする^^;
あまたの名勝負が繰り広げられる本作だが、
個人的なベストバウトはやはり竹井vs田村の決戦。
麻雀なんて勝った所で何も無い
負ければ大きな痛みがある
それでも俺達がここにいる理由があるとすれば
「この場所だけは譲れない」
竹井と田村はやはり押川漫画の中でも最高のライバル関係かと。
本作を読んでいない人は是非ともお勧めしときます^^
ちなみにこの漫画、
実はちょっとした裏話があるそうです。
当時押川先生はこれを連載としては考えておらず、
単純な読み切りとしてテキトーに竹書房にもっていき、
とりあえず掲載された後にとりあえず続きを書いて持っていったそうです。
竹書房の当時の編集の緩さもあったらしく、それらはいずれも掲載されていったのですが、
結果として当初はただのチンピラとして書く予定だった竹井がどんどん色々と勝負論をかたっていき「チンピラ ⇒ 凄腕のギャンブラー」になってしまったそうで^^;
結果として彼が逃亡する理由などのために田村や江藤といったキャラが出来て、
物語の骨格が作られたそうです。
名作ってどんな風に誕生するかわからない、
不思議なものですね^^;