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2017年7月24日月曜日

麻雀漫画について書いてみる⑦ 天 ~ 天和通りの快男児

今日紹介するのは福本伸行先生の「天 ~ 天和通りの快男児」。
福本先生の代表作の一つである。
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まずピックアップすべき部分を二つ。
  • いわずと知れた福本先生の代表作「アカギ」はそもそもこの作品の主要キャラクター「赤木しげる」の青年期を描いたスピンオフである。もっともスピンオフの方が長寿となった関係でこの原作を知らない人も出てきてしまっているがw

  • この作品以前の福本作品は人情描写部分をメインとした物が多くこの作品も1,2巻まではその色が強い。しかし中盤以降は徐々に麻雀勝負ものへと移行し、現在も続く「カイジ」等のベースとなる部分が当作品にて作られていく事になる。そういう意味で先生の漫画家としての新境地開拓の過程をたどることができる作品でもある。

麻雀の天才井川ひろゆきが、
町のゴロツキの天に出会うところから始まり、
そこから徐々に舞台を大きくし、東西ヤクザの利権を争う麻雀対決「東西戦」を描いたものになっている。

正直に、 麻雀描写部分を細かくみると結構ツッコミ所は多い。
ある程度は作りこまれているが、それでも片山作品あたりから比べると劣る。
がこの作品の面白さはそこではなく、 通常麻雀ルールの一部を変更した変則ルール、そしてそこで織り成される思考と戦略の描写である。

例として以下の通り

①クリア麻雀
麻雀の代表的2ハン役(一気通貫・三色同順・混全帯么九(チャンタ)・三暗刻・七対子)を先に全てあがった陣営が勝利

②減点麻雀
8000点以下の和了は無効。 自分があがっても得点は増えず、ただ減点だけがカウントされ、トビは脱落

③二人麻雀
2人で通常の麻雀をうち、聴牌競争および相手の待ち牌予想をする。
詳細に興味ある人はこれ見てねw

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9_%E5%A4%A9%E5%92%8C%E9%80%9A%E3%82%8A%E3%81%AE%E5%BF%AB%E7%94%B7%E5%85%90

改めて麻雀漫画界の大御所といえば、片山先生・押川先生・福本先生だが、 
片山先生は細かい麻雀理論・作りこまれた牌姿・ギャグ要素、 
押川先生は麻雀というより鉄火場の人達の心理描写と魅力的なキャラクター、 
といった点が大きな作品の売り(魅力)だが、
福本先生はこういった「勝負そのもののルール」「その中で発生する心理描写と駆け引き」という点が売りといえる。

アカギの「鷲頭麻雀」
 カイジの様々なギャンブル勝負、 
これら作品のベースとなったのがまさにこの「天」なわけだ。 
その奇抜な展開と緊迫した心理描写で多くの麻雀ファンを虜にした作品である。

ちなみに僕が近代麻雀にて初めて読んだ作品もこれである。 
マガジンの「哲也」を読んだ後、友達にすすめられてこれを読み、初めて麻雀に強い興味を持った、そういう意味で競技プロになる本格的なきっかけを作ってくれた物は、この漫画と安藤先生の著書だったろうな、と今になると思うわけだ。

総括として、
この作品は麻雀初心者~中級者、特に男性には結構お勧めのである。 麻雀の物凄い細かい理論描写は無いので解りやすく、その上で作品の中で描かれる様々な特殊麻雀とそれが作る駆け引きが読者を飽きさせない。

ただし最終巻はちょっと蛇足だったかもな、と個人的には思ったり。